Research Highlights

膜‐細胞骨格リンカーであるエズリンは骨肉腫の転移に必要である

Nature Medicine 10, 2 doi: 10.1038/nm982

転移性癌は、ひとたび確立すると癌による死亡の主要な原因となる。過去に我々は、ゲノム科学的手法を用いて、癌の転移関連遺伝子を同定した。このゲノム科学的結果から、アクチン細胞骨格を細胞膜に物理的および機能的に連結する役割に基づいて、エズリンをさらなる研究対象として選択した。今回、転移性の強い小児癌である骨肉腫のマウスモデルにおいて、エズリンが転移に必要なことがわかった。マウス肺における転移性細胞を画像化したところ、エズリンの発現が、肺に到達した癌細胞の初期生存に有利に作用することがわかった。AKTおよびMAPKのリン酸化および活性は、エズリンタンパク質を抑制すると低下した。エズリンが媒介する転移性細胞の初期生存率は、部分的にはMAPKの活性化に依存していたが、AKTの活性化には依存していなかった。また、最初に確立されたマウスモデル以外のもので、転移の生物学的性質へのエズリンの関与を明らかにするために、骨肉腫を自然発症したイヌでのエズリンの発現を調べた。イヌの腫瘍におけるエズリンの高発現は、転移の早期発生と関連していた。小児の骨肉腫患者におけるエズリン高発現と予後不良との間に有意な関連性が認められたことは、この結果と一致している。

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