Press Release

抗アンドロゲン療法に対する耐性を決定する分子群

Nature Medicine 10, 1 doi: 10.1038/nm972

同系の前立腺癌異種移植モデルについてマイクロアレイを使ったプロファイリングを行ったところ、抗アンドロゲン療法に対する耐性の発生に伴って一貫して起こる唯一の変化は、アンドロゲン受容体mRNA量の小規模な増加であることがわかった。このようなアンドロゲン受容体mRNAおよびタンパク質量の増加は、前立腺癌の増殖状態をホルモン感受性からホルモン無反応性へ変えるのに必要かつ十分であった。また、この増加は機能を持つリガンド結合ドメインの存在に依存して起こった。アンドロゲン受容体量が増加した細胞では、アンドロゲン受容体の拮抗薬がアゴニスト活性を示した。このアンタゴニストからアゴニストへの変換は、標的となるアンドロゲン受容体遺伝子プロモーターへのコアクチベーターとコリプレッサーの移動状況の変化と関連していた。アンドロゲン受容体量が増加すると残っている少量のリガンドから発せられるシグナルが増幅され、また拮抗薬に対する正常な反応が変化して、抗アンドロゲンに対する耐性が生じる。この結果は新しい抗アンドロゲン薬をデザインする上での手掛かりとなる。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度