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ラッカセイ:新たなゲノム多様性マップにより中国におけるラッカセイの多様性と28の農業形質との関連性が明らかになる

Nature Genetics 56, 3 doi: 10.1038/s41588-024-01660-7

ラッカセイ(Arachis hypogaea L.)は異質四倍体のマメ科植物で、重要な食用油糧作物である。中国は世界でもトップクラスのラッカセイ生産国であり消費国である。しかし、中国で栽培されているラッカセイの伝播経路を示すゲノム多様性、あるいは遺伝的多様性の基盤となっているゲノム多様性についてはよく分かっていない。本論文で我々は、ラッカセイの390アクセッションのリシークエンスに基づいて作製したゲノム多様性マップから、ラッカセイは中国南部、中国北部にそれぞれ独立に伝播し、2カ所に栽培中心を形成したと考えられることを報告する。ラッカセイの選択的一掃の解析からは、ラッカセイの改良過程で、2つのサブゲノム間で非対称的な選択が行われたことが明らかとなった。中国南部の典型的な系統を調べることにより、ラッカセイゲノムに対する人為選択の影響を検証するための背景となるゲノム状況を知ることができる。ゲノムワイド関連研究(GWAS)を行ったところ、28種類の農業形質との有意な関連を2万2309検出し、植物構造の形成や油の生合成に関わる候補遺伝子が明らかになった。本研究の知見は、中国で栽培されているラッカセイの伝播経路と多様化の過程を明らかにし、ラッカセイの品種改良のための貴重なゲノム情報資源を提供するものである。

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