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妊娠期間:分娩時期に対する遺伝的影響および胎児出生体重との関連

Nature Genetics 55, 4 doi: 10.1038/s41588-023-01343-9

分娩時期は新生児の生存と乳児の健康にとって極めて重要である。しかし、その遺伝学的基盤についてはほとんど分かっていない。本研究では妊娠期間に関する母体のゲノムワイドメタ解析(n = 195,555)を行い、22の関連座位(24の独立したバリアント)を同定した。これらのバリアントは分娩時に発現が変化する遺伝子に集中していた。早産に関するメタ解析(症例1万8797人、対照26万246人)では6つの関連座位が同定され、妊娠期間との大きな遺伝的類似性が明らかになった。親から継承した対立遺伝子と継承していない対立遺伝子を解析すると(n = 13万6833)、妊娠期間との関連を有する遺伝的バリアントのうち、15個は母体ゲノムのみを介して作用するのに対し、7つは母体ゲノムと胎児ゲノムの両方を介して、2つは胎児ゲノムのみを介して作用することが分かった。妊娠期間に対する母体ゲノムの影響は、出生体重に対する胎児ゲノムの影響と拮抗的な多面効果の関係にあることが示された。つまり、妊娠期間を延長させる母体対立遺伝子の効果は、出生体重に対する胎児対立遺伝子の負の効果に関連する。本研究の結果は、分娩時期に対する遺伝的影響と、妊娠期間と出生体重との間に見られる複雑な母体–胎児関係に関する知見を提供する。

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