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悪性胸膜中皮腫:悪性胸膜中皮腫のマルチオミクス解析から、腫瘍間の不均一性を引き起こす分子軸と特殊化した腫瘍プロファイルが明らかになる

Nature Genetics 55, 4 doi: 10.1038/s41588-023-01321-1

悪性胸膜中皮腫(MPM)はアグレッシブながんで、発生率が上昇しているが、臨床管理が難しい疾患である。本論文では、マルチオミクスの因子分析を用いて、一連の大規模な全ゲノム塩基配列決定データをトランスクリプトームおよびエピゲノムのデータと統合することで、現在の世界保健機関の分類は患者間の分子的差異を最大で10%しか説明しないことを示す。一方、MESOMICSプロジェクトは、倍数性、腫瘍細胞の形態、適応免疫応答、CpG島メチル化プロファイルという4つの次元に基づいてMPMの形態分子分類を行う道を開いている。これらの4つの次元は補完的であり、患者間の主要な分子的差異を捉えており、(相互依存性のある腫瘍細胞の形態と適応免疫応答から推定した場合には)特殊化した腫瘍を反映する極端な表現型によって腫瘍の特徴を明らかにできることを示す。これらの知見は、MPMの機能生物学的性質とそのゲノム履歴との間に相互作用があることを明らかにし、また、MPM患者の臨床像で観察される差異を探る手掛かりとなる。

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