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COVID-19:SARS-CoV-2の診断検査率がゲノムサーベイランスプログラムの感度を決定する

Nature Genetics 55, 1 doi: 10.1038/s41588-022-01267-w

重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)ゲノムサーベイランスの最初のステップは、感染者を特定するための検査である。しかし、深刻な公衆衛生上の緊急事態が解消されるに従い、世界中で検査率は低下してきており、また、多くの低・中所得国では以前から低いままである(10万人当たり1日平均27件)。本研究では、典型的な低・中所得国での新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行をシミュレーションし、検査率、サンプリング戦略、塩基配列解読を行う割合が、総合的にサーベイランスの結果にどのような影響を与えるかを調べた。検査率の低さと検査の時間的・地域的な偏りのために、新しい変異株が検出されるまでの期間が数週間から数カ月遅れ、塩基配列解読を行う検体の割合を増やしたとしても、変異株の有病率を高い信頼性で推定できなくなる恐れがあることが判明した。診断検査を受けやすくするための投資を行い、10万人当たり1日約100件の検査率を実現できるよう支援できれば、新しい変異株をより迅速に検出し、変異株の有病率を高い信頼性で推定することが可能となる。世界中で進められているSARS-CoV-2ゲノムサーベイランスプログラムの成果は、基本的には診断検査の受けにくさによって制限される。

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