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マイクロバイオーム:単一集団のコホートにおいて、宿主の遺伝学的性質と食事がヒト腸の微生物相や発症疾患に及ぼす複合的な影響

Nature Genetics 54, 2 doi: 10.1038/s41588-021-00991-z

ヒトの遺伝的多様性は、環境要因と宿主要因の複雑な組み合わせを介して、腸の微生物相に影響を及ぼす。本論文では、5959人からなる単一集団ベースの大規模コホートにおいて微生物の存在量に関連する遺伝的バリアントの特徴を明らかにした。この研究の参加者は、遺伝子型と腸の微生物メタゲノムの対応付けがなされ、食事の記録や健康記録(既存疾患と追跡調査)が行われた。その結果、567の独立したSNP–タクソンの関連が特定された。LCT座位のバリアントはビフィズス菌類(Bifidobacterium)や他の複数のタクソンと関連するが、これらは乳製品の摂取によって違いが生じた。また、Faecalicatena lactarisのレベルはABOに関連していたことから、腸でのエネルギー源として、分泌された血液抗原が優先的に利用されることが示唆された。Enterococcus faecalisのレベルは、大腸がんに関係するMED13L座位のバリアントと関連していた。メンデル無作為化解析から、モルガネラ属(Morganella)が大うつ病性障害に原因となる影響を及ぼす可能性が示され、これは大うつ病性障害の発症の観察的分析結果と一致していた。まとめると、我々は、宿主と微生物相の相互作用の複雑な性質やそれらの疾患との関連を見つけ、その特徴を明らかにした。

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