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エンハンサー:哺乳動物のエンハンサーにおけるH3K4me1結合タンパク質の特定

Nature Genetics 50, 1 doi: 10.1038/s41588-017-0015-6

エンハンサーは標的遺伝子の転写を促進することで、細胞種特異的な遺伝子発現の制御に作用する。哺乳動物の細胞の活性なエンハンサーや刺激を受けた状態にあるエンハンサーは通常、細胞種特異的にヒストンH3の4番目のリシンがモノメチル化されている(H3K4me1)。このヒストン修飾が、哺乳動物のエンハンサーによる転写プログラムを制御しているのかどうか、また、制御しているのであれば、それはどのように起こるのかについてははっきりしていない。今回、ヌクレオソーム単量体に関するSILAC質量分析を行い、多数のH3K4me1結合タンパク質を同定した。これらのタンパク質の多くはクロマチンリモデリングに関与していた。in vivo条件下で、H3K4me1によってクロマチンリモデリング複合体BAFのエンハンサーへの結合が増加すること、そしてin vitro条件下では、H3K4me1型ヌクレオソームにおいてより効率よくBAF複合体によるリモデリングが起こることが判明した。BAF構成因子BAF45Cの結晶構造から、BAF45CのH3K4結合部位に存在するのはモノメチル化されたH3K4であり、トリメチル化H3K4ではないことが示された。今回の研究成果は、H3K4me1がエンハンサーにおいて、BAF複合体、そして場合によってはBAF複合体以外のクロマチン調節因子の結合を促進することで、積極的な役割を果たすことを示唆している。

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