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精神疾患: 329,000人以上を対象にした関連解析によって神経症傾向に影響を及ぼす116の独立したバリアントを同定

Nature Genetics 50, 1 doi: 10.1038/s41588-017-0013-8

神経症傾向は、否定的感情(例えば、不安感や罪悪感)によって特徴づけられる比較的安定性のあるパーソナリティ特性である。双生児研究から推定される遺伝率は30~50%、SNPに基づく遺伝率は6~15%である。神経症傾向の増大は精神的ならびに身体的な健康状態を悪化させ、経済的負担の増加をもたらす。神経症傾向のゲノムワイド関連解析(GWAS)により、これまでに最大11の関連座位が同定されている。本研究では、329,821人の英国 Biobank登録者を対象として神経症傾向のGWASを実施し、116の独立した関連座位を同定したので報告する。そのうちの15座位は、独立したコホート(N = 122,867)における再現解析でも確認された(P < 0.00045)。関連シグナルは神経発生および神経分化の経路に豊富に見られ、抑うつ症状〔rg = 0.82、標準誤差(s.e.)= 0.03〕、大うつ病性障害(MDD、rg = 0.69、s.e. = 0.07)、主観的ウェルビーイング(rg = − 0.68、s.e. = 0.03)やその他の精神的健康指標に神経症傾向との比較的高い遺伝的相関が認められた。これらの知見は、神経症傾向やMDDとの関連を理解する上で大きく役立つものである。

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