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シストローム:アンドロゲン受容体のシストロームは、ヒト前立腺の腫瘍形成において、広範囲にわたってリプロミングされている

Nature Genetics 47, 11 doi: 10.1038/ng.3419

哺乳類細胞において、基本転写因子はDNAと相互作用して細胞種特異性を生じさせ、遺伝子発現を調節している。こういった転写因子が結合するゲノム上の位置を示す地図を、シストロームと呼んでいる。本論文では、アンドロゲン受容体(AR)のシストロームが、前立腺上皮のがん化に際して広範囲なリプログラミングを経ていることを明らかにする。ヒトの前立腺組織を用いて、複数の腫瘍間で共通してリプログラミングを受けていた一連の主要なAR結合部位を見つけた。FOXA1およびHOXB13はヒトの腫瘍組織において、このようなリプログラミングされたAR結合部位に共存していた。ここで不死化前立腺細胞株にFOXA1とHOXB13を導入すると、ARシストロームがリプログラミングされ、前立腺腫瘍で観察されるシストロームと類似したものになった。これにより、この2因子がARシストロームと機能的に結びつくことが分かった。上記の結果から、正常な前立腺上皮を形質転換させる一連の重要な事象について、その機構上の手掛かりが得られ、ヒト前立腺の腫瘍形成におけるエピジェネティックなリプログラミングの重要性が明らかになった。

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