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ハヤブサゲノム:ハヤブサとワキスジハヤブサ(セーカーハヤブサ)のゲノムの塩基配列から捕食者としての生活様式の進化の様子が見えてくる

Nature Genetics 45, 5 doi: 10.1038/ng.2588

捕食者の中でも頂点に位置するタカの仲間は、優秀な狩猟者たらしめる独自な形態的、生理的、行動的な適応を遂げてきている。例えば、ハヤブサは世界最速の動物としてよく知られている。捕食者としての適応の進化上の基礎を調べるために、ハヤブサ(Falco peregrinus)とワキスジハヤブサ(Falco cherrug)のゲノムの塩基配列を決め、捕食者としての生活様式への進化的な改善と選択が、ゲノム全体にわたり同時進行した証拠を見いだした。イルミナ社のディープシーケンサーを用いて、100倍以上の深度でゲノム塩基配列を構築したところ、両種ともおよそ1.2 Gbの長さで、トランスクリプトームによる予測をもとにどちらにも約16,200個の遺伝子が存在していることがわかった。両種のタカ、およびニワトリ、キンカチョウ、シチメンチョウにおいて、8,424個のオーソログ遺伝子の分析により、これらの猛禽類でのゲノム全体にわたる急速な進化に合致する証拠が同定された。SNPをもとにした予測からは、これら2種のタカの仲間では、最近の個体群数の対照的な変遷が示された。また、遺伝子をもとにした解析からもタカの仲間に特異的な新しい進化的な事例が明らかになり、くちばしの発達と嗅覚の進化や、特に乾燥した環境に適応したワキズジハヤブサでのホメオスタシスに関連した遺伝子の進化が明らかになった。

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