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老化と複製ストレス:ATR-セッケル症候群のマウスモデルから胎生期の複製ストレスと老化促進が示される

Nature Genetics 41, 8 doi: 10.1038/ng.420

DNA損傷は加齢を促進する力であると考えられているが、内因性に起こる損傷の本質は明らかではない。複製ストレスは、内因性のDNA損傷の原因となり、主としてATRキナーゼによって防御される。我々は、ATRの重度の欠損を特徴とするセッケル症候群のマウスモデルを開発した。セッケルマウスは、増殖が広範囲にわたって起こる胚発生過程では高レベルの複製ストレスを示したが、出生後には必要最低限のATR量が回復し、複製ストレスは低下した。このような低下がみられるにもかかわらず、成体のセッケルマウスは老化促進を示し、この老化はp53が存在しない場合にさらに促進された。まとめると、これらの結果は、特に子宮での複製ストレスが出生後の加齢の開始に寄与するというモデルを裏付けるもので、これは、チェックポイントタンパク質であるATRやp53の複製ストレスを制限する役割によってバランスがとられている。

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