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葉形:シロイヌナズナ近縁種のミチタネツケバナの全裂葉形成に関する発生の枠組み

Nature Genetics 40, 9 doi: 10.1038/ng.189

多様な葉形が作り出されるための発生の基盤はほとんど明らかにされていない。本研究では、葉形が単純なシロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)および特有の小葉をともなう全裂葉をもつミチタネツケバナ(Cardamine hirsuta)という近縁の2種に関して、それぞれの発生を特徴づける過程を調べることによってこの問題に取り組んだ。遺伝学、発現試験、および細胞系統の追跡により、ミチタネツケバナの側小葉形成には、葉形成開始後に生ずる生長中心(growth foci)の確立が必要であることがわかった。この生長中心は、さまざまな発生局面で生長の偏りをもたらすホルモンである「オーキシン」の活性極大に応答して葉縁部に形成される。ミチタネツケバナではクラスI KNOTTED1様ホメオボックス(KNOX)タンパク質も小葉形成の開始を促進しており、このKNOXタンパク質の作用はPINFORMED1(PIN1)オーキシン排出輸送体によるオーキシン極大の形成能力を条件とするものであることが今回示された。このように、進化中の葉形の多様化では、細胞増殖を偏らせる基本的メカニズムの差別的展開が寄与していた。

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