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二重のAAVによるマウスの脳、肝臓、心臓での効率的なプライム編集

Nature Biotechnology 42, 2 doi: 10.1038/s41587-023-01758-z

遺伝性疾患の研究と治療に対するプライム編集への期待を現実のものとするには、プライムエディター(PE)をin vivoで送達する効率的な方法が必要である。本論文では、アデノ随伴ウイルス(AAV)を介したin vivoプライム編集を制限している問題点を特定し、PEの発現、プライム編集ガイドRNAの安定性、およびDNA修復の調節が改善されたAAV-PEベクターを開発したことを報告する。今回得られた二重AAV系、すなわちv1em PE-AAVとv3em PE-AAVは、マウスの脳(皮質で最高42%の効率)、肝臓(最高46%)、心臓(最高11%)において、治療に用い得るプライム編集を可能にした。我々はこれらの系を用い、アストロサイトではアルツハイマー病、肝細胞では冠動脈疾患に関して、防御的と考えられる変異をin vivoで導入した。v3em PE-AAVによるin vivoプライム編集では、検出可能なオフターゲット効果は発生せず、肝酵素や組織構造の有意な変化も生じなかった。最適化されたPE-AAV系は、既報の中で最高の未濃縮レベルのin vivoプライム編集を支え、遺伝的要素を持つ疾患の研究や治療法開発を促進する。

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