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細胞依存的なRNA速度を推測するリレー速度モデル

Nature Biotechnology 42, 1 doi: 10.1038/s41587-023-01728-5

RNA速度は、単一細胞RNA塩基配列解読(scRNA-seq)のデータから細胞状態の移行を推測する方法である。従来のRNA速度モデルは、1回のscRNA-seq実験に含まれる全ての細胞から全体の動態を推測するものであり、全細胞の動態速度を同一とする仮定が維持できない多段階や多系統の細胞状態の移行を扱う実験では、性能が予測不能である。今回我々は、各細胞の速度を近傍細胞から局所的に推測した上で一連の局所速度をリレーして単一細胞分解能での速度動態を推測する、スケーラブルなディープニューラルネットワークであるcellDancerを紹介する。シミュレーションベンチマークでは、cellDancerは、複数の動態レジーム、脱落率が高いデータセット、疎なデータセットでロバストな性能を示した。赤血球成熟と海馬発生のモデル化では、既存のRNA速度モデルの限界を克服することが示された。さらにcellDancerは、転写速度、スプライシング速度、分解速度を細胞特異的に予測し、我々はこれらがマウス膵臓の細胞運命の指標となり得ることを明らかにした。

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