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細胞タイプ特異的な三次元クロマチン構成の予測がハイスループットなin silicoの遺伝子スクリーニングを可能にする

Nature Biotechnology 41, 8 doi: 10.1038/s41587-022-01612-8

クロマチン構成が細胞タイプ特異的な遺伝子発現をどのように決定しているかを調べることは、今なお容易でない。三次元クロマチン構成を明らかにするHi-Cなどの実験法は、コストが高く技術的な限界もあるため、特にハイスループットな遺伝子摂動には広範な応用がしづらくなっている。今回我々は、CTCF結合とクロマチン接近可能性という2つの細胞タイプ特異的なゲノムの特徴とDNA塩基配列を用いて、細胞タイプ特異的なクロマチン構成のde novo予測を行うマルチモーダルなディープニューラルネットワークC.Origamiを紹介する。C.Origamiは、遺伝子の変化がクロマチンの相互作用に及ぼす影響を調べるin silico実験を可能にする。我々はまた、個々のDNAエレメントがクロマチン構成にどう寄与するかを評価し、クロマチンの構造を総体的に決定する細胞タイプ特異的なトランス作用性の調節因子を推定するin silico遺伝子スクリーニング法を開発した。この手法を白血病細胞と正常T細胞に用いることで、C.Origamiが可能にする細胞タイプ特異的なin silico遺伝子スクリーニングは、正常な生体システムと疾患関連の生体システムの両方で新規のクロマチン調節回路の系統的発見に使用可能であることが示された。

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