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ベイズ実験計画法を用いたナノポア塩基配列解読中のダイナミックな適応サンプリング

Nature Biotechnology 41, 7 doi: 10.1038/s41587-022-01580-z

ナノポア塩基配列解読装置では、わずかな開始部分を解析して分子を排除することにより、どのDNA分子の塩基配列を解読するか選択することができる。現在のところ、選択は、実験中に終始変わらない所定の対象領域に基づいて行われている。そのため塩基配列解読作業では、実験の成功に最も寄与しそうな分子に対象を変更することができない。今回我々は、ダイナミックにアップデートされた決定戦略を得るためのアルゴリズムの枠組みとソフトウエアであるBOSS-RUNSを紹介する。我々は、既に確認されたデータからのリアルタイムなアップデートにより、各ゲノム位置の不確実性を定量化した。そして、DNA断片ごとに、もたらされるであろう不確実性の低下が全塩基配列の解読を行う理由となるかどうかを判断し、情報利得を最適化した。BOSS-RUNSは微生物群集の種間と種内のカバー率の偏りを減じ、バリアントコールの改善をもたらした。例えば、存在量が1%の種では低カバー率の部位が87.5%減少し、検出される一塩基多型が12.5%増加した。このようなデータ主導による分子選択のアップデートは、分岐が増加している領域や低カバー率の領域の強化など、さまざまな塩基配列解読の状況に用いることができ、解析時間を短縮する。

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