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多重化DNA FISHからクロマチン構造を解明する空間的ゲノムアライナー

Nature Biotechnology 41, 7 doi: 10.1038/s41587-022-01568-9

多重化された蛍光in situハイブリダイゼーション法(FISH)は、ゲノムの三次元的構成の解析に広く使用されている方法であるが、ノイズの多い蛍光シグナルから染色体の高次構造を明らかにすることは困難で、クロマチンをトレースすることは容易でない。本論文では、シグナルをDNAポリマーモデルに並べることによって真のクロマチンシグナルをノイズから分けて解析する空間的ゲノムアライナーを紹介する。画像化された座位の間のゲノム距離を用いることにより、このアライナーは三次元空間でポリマー上の座位を隔てていると考えられる空間的距離を推定する。続いて、そうした座位に属する観察シグナルが連結している物理的確率を評価し、クロマチンの構造をトレースする。この空間的ゲノムアライナーは、さまざまな規模のDNA FISHデータから染色体の構造を効率的にモデル化することができ、間期細胞の染色体倍数性の新規予測に使用可能であることが実証された。この方法で過去の全ゲノム染色体トレースデータを再処理することにより、非同期のマウス胚性幹細胞でS/G2期細胞の姉妹染色分体の空間的凝集が示され、成体マウスの皮質の有糸分裂後ニューロンでは、強固に対合した状態を保つ過剰染色体の証拠が得られた。

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