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ナノボディがつなぐ転位が単一細胞分解能の多因子クロマチンプロファイリングを可能にする

Nature Biotechnology 41, 6 doi: 10.1038/s41587-022-01588-5

クロマチンの状態は、ヒストン修飾や転写因子結合、DNA接近可能性などの要因の複雑な組み合わせによって機能的に規定される。クロマチンの状態を明らかにする既存の方法では、1回の実験によって複数の側面を単一細胞の分解能で測定することができない。本論文では、ゲノム規模のヒストン修飾とタンパク質–DNA結合部位の存在を、単一細胞の分解能で最大3種類まで測定可能な解析法であるNTT-seq(nanobody-tethered transposition followed by sequencing)を紹介する。NTT-seqでは、一連の二次ナノボディ(nb)と融合させた組換えTn5トランスポザーゼを使用する。それぞれのnb–Tn5融合タンパク質は異なる免疫グロブリンG抗体と特異的に結合するため、異なるエピトープに結合した一次抗体の混合物を1回の実験で使用することが可能になった。我々はバルク細胞のNTT-seqと単一細胞のNTT-seqを用い、培養細胞とヒト免疫細胞でクロマチン状態の高分解能マルチモーダルマップを得た。また、NTT-seqを拡張し、細胞表面タンパク質の発現とマルチモーダルなクロマチン状態の同時プロファイリングによる免疫系細胞の研究も可能とした。

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