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単一細胞のヒストン修飾の動的な関係を推論するscChIX-seq

Nature Biotechnology 41, 6 doi: 10.1038/s41587-022-01560-3

クロマチン状態の調節には、遺伝子発現を制御するさまざまなヒストン修飾の動的な相互作用が関与している。最近の進歩により、単一細胞のヒストン標識をマッピングすることができるようになったが、大多数の方法は細胞1個につき1つのヒストン標識しかプロファイリングを行うことができない。本論文では、単一細胞の複数のヒストン標識をマッピングするための実験と計算による統合的な枠組みであるscChIX-seq(single-cell chromatin immunocleavage and unmixing sequencing)を紹介する。scChIX-seqは2つのヒストン標識を単一細胞中で同時に多重化させ、それぞれのヒストン標識のプロファイルから得られた訓練データを用いて、コンピューターでシグナルのデコンボリューションを行う。この枠組みはヒストン標識間の細胞タイプ特異的な相関構造を学習するため、そのゲノム分布の先験的仮定を必要としない。我々はscChIX-seqを用い、複数の標識の組み合わせにわたって単一細胞のヒストン標識のマルチモーダル解析を実証した。in vitroのマクロファージ分化の動態をモデル化することにより、クロマチン速度の統合的な解析が可能になった。以上のように、scChIX-seqは、単一細胞のヒストン修飾間相互作用の体系的な研究を可能にするものである。

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