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拡大する空間トランスクリプトミクスの展望

Nature Biotechnology 41, 6 doi: 10.1038/s41587-022-01448-2

完全な組織の形成と維持には、無数の遺伝子とそれらがコードする生成物による複雑で協調的な活動が必要である。最近まで、組織中で転写物レベルを定量できる遺伝子の数はわずかであったが、DNA塩基配列解読、オリゴヌクレオチド合成、蛍光顕微鏡法の進歩により、多数または全ての遺伝子の発現をin situで測定できる一連の空間トランスクリプトミクス技術の発明が可能になった。こうした技術は、感度、多重化、処理能力の面で急速に進化してきた。それにより、組織の細胞タイプ構造の解明、細胞間相互作用の解析、組織構成要素間の分子相互作用のモニタリングが可能になった。急速に進化する空間ゲノミクス景観は、一般化されたハイスループットなゲノムの測定や摂動を組織の環境で行うことを可能にする。このような進歩は、仮説の構築や生物学的発見に力を与え、組織生物学の世界とゲノミクスの世界をつなぐと考えられる。

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