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マイクロ流体工学によらずテンプレート乳化を用いる単一細胞ゲノミクス

Nature Biotechnology 41, 11 doi: 10.1038/s41587-023-01685-z

現在の単一細胞RNA塩基配列解読法には、試料の処理に必要なマイクロ流体デバイスや流体操作工程で生じる限界がある。我々は、特殊なマイクロ流体デバイスや専門知識、ハードウエアを必要としない方法であるPIP-seq(particle-templated instant partition sequencing)を開発した。この方法は、ボルテックスミキサーのみによって一様な液滴エマルジョンでの単一細胞の封入とcDNAのバーコーディングを可能とする、粒子テンプレート乳化(particle-templated emulsification)に基づいている。PIP-seqは、マイクロウェルプレートや大容量コニカルチューブなどの幅広い乳化形式に対応し、数千点の試料や数百万個の細胞を数分で処理することを可能にする。我々は、PIP-seqがマウスとヒトのミキシングテストで高純度なトランスクリプトームを生成し、マルチオミクス測定に対応し、商業的なマイクロ流体プラットフォームとの比較でヒト乳房組織の細胞タイプの特徴を正確に評価できることを実証した。PIP-seqによる混合表現型急性白血病の単一細胞転写プロファイリングでは、標準的な免疫表現型検査では隠れていた化学療法抵抗性細胞集団での不均質性の出現が明らかになった。PIP-seqは単純かつフレキシブルで拡張可能な次世代ワークフローであり、単一細胞塩基配列解読法の新たな用途を広げるものである。

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