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ヒトサイトメガロウイルス感染の機能的単一細胞ゲノミクス

Nature Biotechnology 40, 3 doi: 10.1038/s41587-021-01059-3

ウイルス因子と宿主因子がどのように相互作用するか、また摂動が感染にどのような影響を及ぼすかを理解することは、抗ウイルス介入を設計するための基盤である。今回我々は、プール型のCRISPR干渉とヌクレアーゼスクリーニングによって、初代ヒト繊維芽細胞のヒトサイトメガロウイルス感染に関与する個々のウイルス因子と宿主因子の機能的な寄与を明らかにした。極めて重要な宿主因子とウイルス因子の遺伝的摂動が感染のタイミング、経過、進行をどのように変化させるのかを明らかにするために、CRISPRで改変された数万個の単一細胞のトランスクリプトームをPerturb-seqによって記録すると、通常は大多数の細胞が型通りの転写軌跡をたどることが分かった。極めて重要な宿主因子の摂動は、型通りの転写軌跡そのものは変化させないが、軌跡に沿った進行が停止、遅延、または加速することがあり、宿主因子が作用する感染段階を正確に特定することが可能となる。逆に、ウイルス因子の摂動は、明確な不全感染の軌跡を生じることがある。本研究の結果は、宿主因子とウイルス因子の役割を明らかにし、宿主と病原体の相互作用を詳細に分析するためのロードマップを提供する。

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