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ヒトの心臓形成オルガノイドが心臓と前腸の初期発生を再現する

Nature Biotechnology 39, 6 doi: 10.1038/s41587-021-00815-9

腸や脳、腎臓などの臓器では初期の組織発生のオルガノイドモデルが作製されているが、心臓では同様の取り組みが行われていない。今回我々は、ヒト多能性幹細胞の凝集塊をマトリゲルに埋め込んだ後、小分子による二相性のWNT経路調節によって心臓の分化を誘導して、複雑で高度に構造化された三次元的な心臓形成オルガノイド(HFO)を作製した。HFOは、心内膜様細胞で裏打ちされ、横中隔様の原基に囲まれた心筋層によって構成され、前部と後部で空間的にも分子的にも異なる前腸内胚葉組織と血管網を含む。HFOの構造は、心筒形成前の自然の初期心臓原基の様相によく似ている(それは前腸内胚葉の発生との相互作用を必要とすることが知られている)。我々はHFOを応用し、トランスジェニックマウスで過去に観察された心奇形に類似の表現型がNKX2.5ノックアウトHFOに見られることを実証することにより、in vitroでの遺伝的異常の研究を行った。

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