Article

CRISPR–Cas9で単純ヘルペスウイルスを標的化してマウスのヘルペス性角膜実質炎を治癒させる

Nature Biotechnology 39, 5 doi: 10.1038/s41587-020-00781-8

単純ヘルペスウイルス1型(HSV-1)は感染性失明の主要な原因である。現在のHSV-1治療では、ウイルスが感染部位や潜伏する三叉神経節から排除されない。今回我々は、HSV-1ゲノムを直接標的化するために、SpCas9 mRNAとウイルス遺伝子標的化ガイドRNAを同時に送達するmRNA担持レンチウイルス粒子を用いた(HSV-1-erasing lentiviral particle;HELP)。HELPは、3種類の感染モデルでHSV-1の複製とヘルペス性角膜実質炎(HSK)の発現を効率的に遮断することが示された。HELPによる潜伏ウイルスの排除は、角膜から三叉神経節への逆行輸送によるものであった。また、HELPはオフターゲット効果を生じることなくヒト由来の角膜でウイルスの複製を阻害することが、全ゲノム塩基配列解読によって確認された。以上の結果は、難治性HSKの治療に関するHELPの潜在的な臨床有用性を支持している。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度