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UNCALLEDを用いた未処理電気シグナルのリアルタイムマッピングによる選択的ナノポア塩基配列解読

Nature Biotechnology 39, 4 doi: 10.1038/s41587-020-0731-9

従来の選択的塩基配列解読法は、構造バリアントやエピジェネティック修飾を正確に検出する能力など、ナノポア塩基配列解読法の利点の多くをそいでいる。ReadUntil法では、ナノポア装置が細孔からリードをリアルタイムで選択的に排除することができ、純粋に計算による選択的塩基配列解読が可能になると考えられる。ただし、そのためにはオンターゲットのリードの迅速な見極めが必要となるが、マッピング法にはコンピューターに負荷のかかる塩基コールが必要であるものが極めて多い。今回我々は、ナノポアの電流シグナルのストリーミングを参照配列に迅速にマッチさせるオープンソースのマッピング法UNCALLED(https://github.com/skovaka/UNCALLED)を紹介する。UNCALLEDは、シグナルから考えられるk-merを確率的に検討し、Ferragina–Manziniインデックスにコードされている参照配列に基づいて候補群を絞り込む。UNCALLEDを使用することで、メタゲノミクス群集中の既知の細菌ゲノムの塩基配列解読が激減し、残りの種が4.46倍に濃縮された。また、MinIONフローセル1個による遺伝性がん関連のヒト遺伝子148個のカバー率が29.6倍に強化され、それによってこれらの遺伝子の一塩基多型、挿入欠失、構造バリアント、メチル化の正確な検出が可能となった。

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