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ヒト細胞でCからGへの選択的DNAトランスバージョンを誘導するCRISPR塩基エディター

Nature Biotechnology 39, 1 doi: 10.1038/s41587-020-0609-x

CRISPR誘導型のDNAシトシン塩基エディターとDNAアデニン塩基エディターは多くの用途に広く使用されているが、基本的にはDNA塩基のトランジション(ピリミジンからピリミジン、またはプリンからプリン)を生じるものである。今回我々は、望ましくないCからWへの転換(WはAまたはT)とインデル変異のレベルを抑制しながら、CからGへの選択的な塩基トランスバージョンを効率よく誘導することができる2つの塩基エディター構造物について記述する。これらのCG塩基エディターの一方(CGBE1)は、RNA誘導型のCas9ニッカーゼ、大腸菌由来のウラシルDNA N-グリコシラーゼ(eUNG)、そしてRNAとDNAのオフターゲット編集活性を低下させることが以前に示されたラットAPOBEC1シチジンデアミナーゼのバリアント(R33A)からなる。我々は、CGBE1が、とりわけヒト細胞のATに富む塩基配列の領域で、CからGへの編集を効率よく誘導可能であることを明らかにした。また、eUNGドメインを除去すると、編集効率がごくわずかに低下するものの、インデルの頻度が低いminiCGBE1が得られた。CGBE1とminiCGBE1はCからGへの編集を可能にするものであり、研究や治療への応用に用いられるCG塩基エディターを最適化するための土台になると考えられる。

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