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Casドメインの互換性および活性が高いアデニン塩基エディターのファージによる進化

Nature Biotechnology 38, 7 doi: 10.1038/s41587-020-0453-z

アデニン塩基エディター(ABE)は、デオキシアデノシンデアミナーゼ要素とSpCas9以外のCasホモログとの相性に制限があるため、応用に限界があった。我々は、ファージによる非連続進化法(PANCE)および連続進化法(PACE)を用いてABE7.10のデアミナーゼ要素を進化させ、ABE8eを得た。ABE8eには、活性(kapp)をABE7.10の590倍に高める8つの新たな変異が含まれる。ABE8eは、各種のCas9またはCas12ホモログと組み合わせたときの編集効率が大幅に優れている。ABE8eのプロセッシブ性はABE7.10を上回り、スクリーニング、調節領域の破壊、および多重塩基編集への応用に役立つ可能性がある。Cas9依存性および非依存性のDNAオフターゲット編集とトランスクリプトーム規模のRNAオフターゲット編集のわずかな増加は、TadA-8eドメインに別の変異を導入することによって改善可能である。さらに、ABE8eは、胎児ヘモグロビン発現を上昇させる自然変異をヒト細胞のBCL11AエンハンサーまたはHBGプロモーターに効率的に導入できることが明らかになった。これらは、ABE7.10ではほとんど編集されなかった標的である。ABE8eはアデニン塩基編集の有効性および応用性を向上させる。

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