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非G PAMに適合するSpCas9バリアントの連続進化

Nature Biotechnology 38, 4 doi: 10.1038/s41587-020-0412-8

化膿連鎖球菌(Streptococcus pyogenes)のCas9(SpCas9)およびその改変バリアントの標的範囲は、G塩基を含むプロトスペーサー隣接モチーフ(PAM)配列にほぼ限定されている。本論文では、NRNH PAM(RはAまたはG、HはA、C、またはT)を一括認識する新たな3種類のSpCas9バリアントの進化を紹介する。これは、「ファージを用いた非連続的進化法」、DNA結合に関する新たな3種類の「ファージを用いた連続的進化法」、およびDNA切断の二次選択を用いたものである。可能な全てのNNNN PAMを含みゲノムに組み込まれたプロトスペーサー・sgRNAペア1万1776組のライブラリーを用い、HEK293T細胞でその進化させたバリアントおよびSpCas9-NGのターゲッティング能力を評価した。進化させたバリアントはヒト細胞でインデル形成および塩基編集を媒介し、鎌状赤血球貧血の変異ではこれまで認識不能であったCACC PAMによるA•TからG•Cへの塩基編集が行われた。今回進化させた新たなSpCas9バリアントと既報のバリアントを合わせると、原理的には大多数のNR PAM配列を標的とすることが可能となり、Cas9系の方法で認識不能なゲノム部位の割合が大幅に低下した。

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