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コンピューターを使って設計したキメラ抗原受容体がT細胞療法の低分子安全スイッチとなる

Nature Biotechnology 38, 4 doi: 10.1038/s41587-019-0403-9

キメラ抗原受容体(CAR)T細胞の固形腫瘍に対する活性を高める方法は、毒性などの副作用のリスクを高める可能性もある。我々は、CAR-T細胞療法の安全性を向上させるため、2つのヒトタンパク質の結合に基づいて、化学的に分断可能なヘテロ二量体(chemically disruptable heterodimer;CDH)をコンピューターを使って設計した。CDHは自己集合し、低分子薬で分断することが可能で、野生型ヒトタンパク質とのアミノ酸の差異を最小限にした高親和性のタンパク質界面を有している。このCDHを、抗原認識鎖、CD3ζ、CD28を含むエンドドメインシグナル伝達鎖を持つ合成ヘテロ二量体CAR「STOP-CAR」に組み込んだ。2種類の抗原に特異的なSTOP-CAR-T細胞をin vitroおよびin vivoで試験したところ、第2世代のCAR-T細胞と同等の抗腫瘍活性が見られた。低分子薬を時限的に投与すると、STOP-CAR-T細胞の活性は動的に抑制された。本研究により、構造に基づく設計による合成細胞療法への制御可能要素の追加に関する可能性が示された。

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