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ETV2欠損ブタ胚でのヒト内皮の作製

Nature Biotechnology 38, 3 doi: 10.1038/s41587-019-0373-y

ドナー臓器の不足は、ヒトに移植したときの免疫拒絶反応の可能性が低いヒト化臓器をブタで育てることによって、将来的に解決される可能性がある。これまでの研究で、発生調節遺伝子が欠損した齧歯類胚盤胞の種間補完によって異種の膵臓および腎臓が得られることが示されている。しかし、そうした臓器は免疫拒絶の原因となる宿主の内皮を有している。我々は、遺伝子編集および体細胞核移植を利用して、血管内皮系譜のマスター調節因子ETV2が欠損したブタ胚を作製した。ETV2欠損ブタ胚は血管内皮系譜を欠き、胚性致死性であった。野生型ブタ割球を用いた胚盤胞補完では、血管内皮細胞が完全にドナー由来の生存キメラ胚が得られた。ヒトの人工多能性幹(iPS)細胞または抗アポトーシス因子BCL2を過剰発現するヒトiPS細胞をETV2欠損胚盤胞に注入して同期化未経産ブタに移植し、胎生17〜18日に分析を行った。その胚では全ての内皮細胞がヒト起源であった。

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