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構造多型と複雑な再配列のトライチャネル処理による単一細胞解析

Nature Biotechnology 38, 3 doi: 10.1038/s41587-019-0366-x

DNAセグメントの欠失、重複、逆位および転座などの構造多型(structural variation;SV)は体細胞の遺伝的多様性の大きな要因であり、がん関連経路の調節に異常をきたすことがある。しかし、単一細胞の体細胞SVは発見が容易でなく、コピー数変化のないバリアントや複雑なバリアントは検出されないことが多い。今回紹介するscTRIP(single-cell tri-channel processing;単一細胞トライチャネル処理)は、読み深度、鋳型鎖およびハプロタイプフェーズを統合して個々の細胞のSVを網羅的に発見する電算的枠組みである。我々は、形質転換した上皮細胞および患者由来の白血病試料を含む単一細胞565個のSVの全容を調べ、逆位、転座および複雑なDNA再配列などさまざまな種類のSVを発見した。白血病試料の分析からは、細胞遺伝学的核型分析の4倍の体細胞SV、ごく微小なコピー数変化、コピー数変化のない発がん性再配列、サブクローン性の染色体粉砕(クロモスリプシス)事象が明らかになった。既存の方法を発展させる単一細胞トライチャネル処理は、切断・融合・架橋サイクルなど個々の細胞のSVの変異過程を直接評価することができ、クローン進化、遺伝的モザイク現象およびSV形成機構の研究を促進するものであって、プレシジョン・メディシンのための疾病の分類を改善する可能性がある。

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