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Cas13誘導型メチルトランスフェラーゼによる細胞RNAのプログラム可能なm6A修飾

Nature Biotechnology 38, 12 doi: 10.1038/s41587-020-0572-6

N6-メチルアデノシン(m6A)は、ヒトのメッセンジャーRNAの内部に最も広く見られる修飾である。近年、m6Aの生物学的役割が解明されつつあるが、個々の転写物にm6A部位を特異的に導入することができないため、特定のm6Aの存在と生じる表現型との因果関係を解明する取り組みは進展していない。今回我々は、切断されたMETTL3メチルトランスフェラーゼドメインを持つ核局在性のdCas13融合タンパク質と、改変METTL3:METTL14メチルトランスフェラーゼ複合体を持つ細胞質局在性のdCas13融合タンパク質が、異なる細胞区画で部位特異的なm6Aの導入を誘導できることを実証する。前者の融合タンパク質はオフターゲット活性が特に低かった。複数の部位にわたる独立した細胞アッセイにより、この標的化RNAメチル化(TRM)系は、内在性RNA転写物への効率的なm6A導入を高い特異性で媒介することが確認された。また我々は、TRMはm6Aを介して転写物量や選択的スプライシングに変化を引き起こし得ることを示す。以上の知見から、TRMが、個々のm6A修飾の効果を明らかにしてその機能的役割を詳細に解析することができる選択的エピトランスクリプトーム工学ツールとなることが立証された。

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