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エノコログサのゲノム情報資源によって農学的有用座位が発見された

Nature Biotechnology 38, 10 doi: 10.1038/s41587-020-0681-2

栽培化作物の近縁野生種は、農業バイオテクノロジーの進歩を可能とする遺伝的バリアントを有している。本研究では、C4植物研究のモデル種であるエノコログサ(Setaria viridis)のゲノム情報資源を整備し、これを用いて近縁種作物アワ(Setaria italica)の栽培化に関わる遺伝子について調べた。我々は、S. viridisの極めて高精度なゲノムアセンブリーと野生の598アクセッションのde novoアセンブリーを作成し、これらのゲノム情報を利用して、気候への応答、機械による収穫を可能にする「脱粒の喪失」、および多くのイネ科作物の収穫量の予測因子である葉の角度、という3形質の根底にある座位を突き止めた。また、CRISPR–Cas9によるゲノム編集技術を用いて、Less Shattering1SvLes1)が種子の脱粒を制御する遺伝子であることを立証した。S. italicaでこの遺伝子が機能を失っているのは、栽培化脱粒喪失対立遺伝子にレトロトランスポゾンが挿入されているためである(SiLes1-TE)。今回の情報資源は、複雑な形質を制御する機構の解明とキビ亜科作物の品種改良に関して、S. viridisの有用性を高めると考えられる。

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