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リサーチキットを利用した大規模臨床観察研究 「Asthma Mobile Health Study」

Nature Biotechnology 35, 4 doi: 10.1038/nbt.3826

モバイルヘルス・アプリケーションを使った観察的臨床研究の実現可能性には、厳密な検証が必要である。本論文では、募集、同意、登録を含めてスマートフォンで完全に遠隔的に実施されるリサーチ研究「Asthma Mobile Health Study(喘息モバイルヘルス研究)」で得られた最初の知見を示す。我々は、重症喘息患者多数を含む全米7593例の参加者と調査担当者の間の安全な双方向的データフローを実現した。このプラットフォームにより、6カ月の研究期間にわたって一部ユーザーの長期的多次元データ(調査、デバイス、地理位置情報、大気の質など)の前向きな収集が可能となった。相互に関連する変数の傾向および相関が一貫していたことから、この方法で得られるデータの質が裏付けられた。高温、花粉、および野火の影響を受けた地域には、喘息症状の報告の増加が認められた。この手法の課題としては、選択バイアス、低継続率、申告バイアス、データの安全性などが考えられる。研究および患者ケアでモバイルプラットフォームの潜在能力を十分に引き出すためには、そうした問題に注意を払う必要がある。

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