Perspective

モデル抗原を越えて:抗原特異的T細胞の高次元な分析法

Nature Biotechnology 32, 2 doi: 10.1038/nbt.2783

適応免疫応答は、T細胞受容体(TCR)と主要組織適合複合体(MHC)分子に結合したペプチド抗原との分子複合体形成に始まるものが多い。しかしこの複合体は、MHC遺伝子の多型、TCR遺伝子断片の無作為な厳密でない組換え、およびあり得る自己および病原体ペプチド抗原の多様性のため、極めて可変性が高い。その結果、TCRのレパートリーを包括的に研究したり、マウスまたはヒトで少なからぬ抗原特異的T細胞を同定および追跡したりすることは、極めて困難であった。マウスの研究では、このことがモデル抗原およびTCR導入遺伝子の信頼性につながっている。これに対し、限られたヒト臨床検体の研究には、TCRの表現型および機能とともに、多くのT細胞エピトープに対するTCRの反応性を同時に検査することができる技術が必要である。TCRレパートリーの高処理能配列解読、ならびに一細胞技術およびサイトメトリー技術の最近の進歩により、健常および疾病状態のT細胞応答の包括的分析に必要な手段はすぐ手の届くところにある。

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