Computational Biology

ゲノムの直接比較によるがんの複雑な構造多型の網羅的特性解析

Nature Biotechnology 32, 11 doi: 10.1038/nbt.3027

ハイスループット配列解読技術の発達によってがんの理解が進んでいる。しかし、現在の方法では、まずリードを標準ゲノムにアラインメントする必要があるため、腫瘍ゲノムの体細胞構造多型を明らかにすることは依然として困難である。本論文で紹介する「SMUFIN(somatic mutation finder;体細胞変異発見法)」は、正常ゲノムと腫瘍ゲノムの配列リードを直接比較して、一塩基多型(SNV)から大きな構造多型まで、さまざまな体細胞配列多型を塩基対の分解能で正確に特定および評価する単体プログラムである。モデル腫瘍ゲノムによる性能試験では、SNVおよび構造多型の平均感度がそれぞれ92%および74%であり、特異性は95%および91%であった。進行性の充実性腫瘍および血液系腫瘍を解析した結果、クロモスリプシスおよびクロモプレキシーに関係するブレークポイントがSMUFINによって高い特異性で特定されることが明らかにされた。SMUFINは、がんの体細胞配列多型を正確、迅速、網羅的に解析するための総合的解決法を提供する。

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