Perspective
改良型光学撮像用の標的双性イオン近赤外蛍光色素
Nature Biotechnology 31, 2 doi: 10.1038/nbt.2468
信号対バックグラウンド比(SBR)は、光学撮像の感度、検出能、および増減度を決定する重要な因子である。信号強度は根本的な限界によって制約される場合が多いため、SBRを向上させる方法として背景ノイズの低減は重要となる。我々は最近、双性イオン近赤外蛍光色素であるZW800-1が低い背景ノイズを示すことを発表している。本論文では、この近赤外蛍光色素を環状RGDペプチド、フィブリノーゲン、または抗体と結合させてがん細胞またはタンパク質を標的としたときにSBRが大幅に向上することを示す。市販の近赤外蛍光色素であるIRDye800-CWおよびCy5.5と比較すると、ZW800-1は、in vitroではイムノサイトメトリー、病理組織、および免疫ブロット法で、in vivoではイメージガイド手術での使用で、いずれも高い性能を示す。腫瘍モデル系の場合、cRGDに結合させたZW800-1の注入から4時間後の腫瘍対バックグラウンド比が17.2に達したのに対し、IRDye800-CWでは5.1、Cy5.5では2.7であった。今回の結果は、双性イオンの特性を標的蛍光色素に利用することが診断および治療でのSBRを向上させるための一般的な戦略となる可能性を示唆している。