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β細胞成熟の判定基準作り

Nature Biotechnology 30, 3 doi: 10.1038/nbt.2166-2

ヒト多能性幹細胞は、in vitro で未成熟な膵β細胞に分化させることができ、これをマウスに移植して数か月間増殖させれば、成熟β細胞になる。しかし、in vitro での成熟β細胞の作製は実現していない。今回、Melton らは、成熟を誘導する培養条件のスクリーニングを実施する前段階として、β細胞の成熟の判定基準を検討した。研究チームは、まず、マウスβ細胞の成熟が、グルコース刺激性インスリン分泌(GSIS)に必要なグルコース濃度の上昇を伴うことを明らかにした。次に、成熟を示す分子マーカーを探索するために、さまざまな日齢のマウスに由来するβ細胞の総体的な遺伝子発現を比較した。その解析の結果、β細胞の成熟によって発現が最も増大する遺伝子として、ウロコルチン 3 をコードする Ucn3 が同定された。また、胚性幹細胞から分化許を取得した。これは、産業研究、遺伝子治してマウスで成熟したヒト未成熟β細胞も UCN3の発現を開始させた。UCN3 の発現は、スクリーニング実験で成熟を示す指標として、GSIS 検定以上に簡便なものである。

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