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チモーゲン様第Xa因子変異体による血友病
凝固障害の治療

Nature Biotechnology 29, 11 doi: 10.1038/nbt.1995

さまざまな臨床状況での過度の出血を抑制するために、効果的な治療法が必要とされている。本研究では、チモーゲンから活性を示すプロテアーゼに転換する際の異常によって部分的に不活性化され立体配座が柔軟な第Xa凝固因子の変異体(FXaI16L)を用い、in vivoでの止血を改善した。我々は、血友病マウスモデルを用い、FXaI16Lが野生型のFXaを上回る半減期を持ち、凝固を過剰に活性化させないことを明らかにした。いったん凝固メカニズムが活性化して補因子であるFVaが生成すると、FXaI16Lはプロテアーゼの状態になり、血管損傷した血友病マウスの止血を回復させる。さらに、ヒトまたはマウスのアナログを用い、FXaI16Lが血友病インヒビター患者の出血の治療に用いられているFVIIa以上に効果的であることが示された。FXaI16Lは、凝血塊の形成を促進し、出血状態を治療するための迅速で汎用的な止血剤として作用する効果的な方法となる可能性がある。

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