Review

ウイルス性疾患を理解および予防するための新たな機会

Nature Biotechnology 27, 12 doi: 10.1038/nbt.1593

DNAの合成法および配列解読法の急速な進歩は、生物の計画的で大規模な遺伝子操作を先導している。DNA操作のこうした新たな進展は、ポリオウイルスの合成、根絶された1918年インフルエンザウイルスおよびヒト内在性レトロウイルスの復元、ならびにファージT7ゲノムの再構築が示すように、全ゲノム合成のレベルまで拡張されてきた。これまでに合成された最大のDNAは、582,970塩基対からなるMycoplasma genitaliumのゲノムであるが、この合成DNAからは現在のところ未だ生命が「起動」されていない。ゲノム合成は、天然の鋳型に依存しないため、これまで不可能であったウイルスの遺伝情報の構造および機能の改変をある程度まで可能にする。この新しい戦略に共通する目標は、生物の特性、特にヒトの疾患を引き起こす生物に関して疾病を引き起こす装備を深く理解すること、およびその新しい情報を利用してヒトのウイルス性疾患を予防または治療することである。これまでに発表されているウイルス合成の応用例は未だほんの数例であるが、最近の重要な成果は、1918年インフルエンザウイルスの復元、それにコドンおよびコドン対非最適化ポリオウイルスの作製である。

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