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複数種の体細胞を直接再プログラム化する薬剤誘導性遺伝子組換えシステム

Nature Biotechnology 26, 8 doi: 10.1038/nbt1483

多能性を誘導する研究は、高力価のレトロウイルスベクターの感染が必要であるため複雑であり、結果として遺伝学的に不均質な細胞集団が生ずる。我々は、ドキシサイクリン(dox)誘導性の導入遺伝子が規定する再プログラム化因子群をもつ遺伝学的に均質な「二次」体細胞を作製した。この細胞は、線維芽細胞をdox誘導性のレンチウイルスに感染させ、doxの添加で再プログラム化を行い、誘導された多能性幹細胞を選択した後、キメラマウスを作製して得られた。このキメラから得た細胞のdox処理による再プログラム化は、ウイルス感染が不要であり、直接ウイルスに感染させて多能性幹細胞マーカーの回復を薬剤で選択する場合に比べて25〜50倍効率が高かった。我々は、(i) 再プログラム化因子群のさまざまな誘導レベルが多能性を誘導すること、(ii) 導入遺伝子活性の持続時間が再プログラム化の効率と直接相関すること、(iii) 多くの体性組織の細胞が再プログラム化可能であること、(iv) 必要な誘導レベルが細胞の種類ごとに異なることを示した。このシステムにより、再プログラム化の特性解析が容易になり、再プログラム化を促進する遺伝子または化学スクリーニングの手段が得られる。

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