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ヒト胚性幹細胞由来の膵臓内胚葉からin vivoでグルコース応答性インスリン分泌細胞を生成

Nature Biotechnology 26, 4 doi: 10.1038/nbt1393

糖尿病の細胞治療の開発は、再生可能なヒトβ細胞の供給で大きく進展することが期待される。本論文では、ヒト胚性幹(hES)細胞に由来する膵臓内胚葉をマウスに移植するとグルコース応答性内分泌細胞が効率的に生成することを示す。移植マウスをグルコース刺激すると、血清中にヒトのインスリンおよびC-ペプチドが、約3,000個のヒト膵島細胞が移植されたマウスの場合と同等のレベルで検出された。また、生着後に生じたインスリン発現細胞には、β細胞の重要な転写因子の発現、プロインスリンの適切なプロセシング、および成熟した内分泌顆粒の存在をはじめとする機能性β細胞の特徴が多数認められた。さらに、治療的可能性の検討では、hES細胞由来の膵臓内胚葉の移植が、ストレプトゾトシン誘発性の高血糖を防ぐことが確認された。今回の結果は、hES細胞がグルコース応答性インスリン分泌細胞の生成能力を有することを強く示唆する。

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