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相補性決定領域2個およびフレームワーク領域からなる低分子擬似抗体による腫瘍標的化

Nature Biotechnology 25, 8 doi: 10.1038/nbt1320

本論文では、VHCDR1およびVLCDR3というふたつの相補性決定領域(CDR)を同族のフレームワーク領域(VHFR2)を介して融合させることにより、親分子の抗原認識能を保持しながらすぐれた腫瘍浸透能をもつ擬似抗体が得られることを示す。この約3kDaの擬似抗体の抗原認識能は、対応する無フレームワーク領域断片を上回っていた。擬似抗体のin vivo活性から、CDRの立体的配向性は親抗体と抗原の複合体にみられるCDRの構造に近いことが示唆された。我々はこの擬似抗体を細菌毒素であるコリシンIaと結合させ、腫瘍増殖の選択的阻害を実現する融合タンパク質「フェロモニシン」を作製した。ヒト悪性腫瘍を移植したマウスでは、腫瘍を標的化して浸透する能力に関して、腫瘍特異的表面マーカーに対応するフェロモニシンが親抗体を上回っている。適切なVH/VL結合部位およびフレームワーク領域の合理的組み替えにより、細胞毒性を発揮するがん治療に有用な標的認識分子が作製されるものと考えられる。

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