Analysis

ヒトの遺伝病に関わるタンパク質複合体のフェノーム・インタラクトームネットワーク

Nature Biotechnology 25, 3 doi: 10.1038/nbt1295

さまざまな疾病に関わる遺伝子産物を含むヒトのタンパク質複合体に関して大規模な体系的解析を行い、フェノーム・インタラクトームネットワークを作成した。これは精度が管理されたヒトのタンパク質相互作用とコンピューターで算出し有効性が確認された表現型類似性スコアを組み合わせる方法で行われ、疾病との因果関係が考えられる未知の複合体の同定が可能となる。疾病と連鎖するタンパク質複合体に関するフェノームの順位づけを用いてベイズ推定法を開発したところ、669個の連鎖区間中298個で既知の病原タンパク質が第一候補として正しく順位づけられた。また病原遺伝子が同定されていない870区間では、色素性網膜炎、上皮性卵巣がん、炎症性腸疾患、筋萎縮性側索硬化症、アルツハイマー病、2型糖尿病および冠状動脈性心臓病などの疾病に関わる新たな候補が得られた。我々が一般公開している病理関連タンパク質複合体の素案には複合体が506個含まれている。これは、疾病を助長する遺伝子同士の機能的関連性を明らかにするものであり、今後の実験に役立つ情報をもたらすものと考えられる。

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