Review

抗菌薬の標的としてのリボスイッチ

Nature Biotechnology 24, 12 doi: 10.1038/nbt1268

抗菌薬の探索を再び活気づけるためには、新たに検証された細胞標的が必要である。このニーズは、細菌の遺伝子発現を調節するメッセンジャーRNA(mRNA)構造体であるリボスイッチによって満たされる可能性がある。リボスイッチは、低分子量の薬物様代謝物に対する高次構造をもった選択性の高い受容体を形成するように発達してきたという点で、薬物標的としてふるまうRNAの中でも独特である。多くの場合、このような受容体に結合する代謝物は、mRNAがコードする遺伝子の発現を抑制する。受容体に結合する新規代謝物類似体が設計されれば、当該リボスイッチが調節する遺伝子は抑制され、細菌に致死的に作用する可能性がある。最近の研究により、数十年前に発見されたある種の抗菌化合物が、少なくとも部分的にはリボスイッチを標的として機能することが示唆されている。本論文では、リボスイッチを薬物標的として検証する実験を総括し、リボスイッチ薬を発見するための現行技術に触れ、リボスイッチ薬の探索過程で遭遇しそうな課題を論ずる。

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