Letter

transスプライシング型のアデノ随伴ウイルスベクターによる効率的なin vivoでの遺伝子発現

Nature Biotechnology 23, 11 doi: 10.1038/nbt1153

アデノ随伴ウイルス(AAV)による遺伝子療法はベクターとなるウイルスの組み込み容量の制約を受けているが、transスプライシング型のAAVベクターはベクターゲノムの2倍の断片を組み込むことができる。あいにく、現在のtransスプライシング型ベクターの効率はきわめて低い。本論文では、遺伝子分割部位の合理的な設計がtransスプライシング型ベクターによる遺伝子発現に大きな影響を及ぼすことを示す。mRNAの蓄積を手がかりに、効率的なtransスプライシング型ベクター群を作製し、デュシェンヌ型筋ジストロフィーのモデルであるmdxマウスの骨格筋で6 kbの_H2-R19ミニジストロフィン遺伝子を広範囲に発現させることができた。ジストロフィーの表現型は成体マウスでも高齢マウスでも改善された。transスプライシング型ベクターによる治療用巨大構造タンパク質の効率的発現が示されたのはこれが初めてである。この方法はほかの巨大な治療用遺伝子または巨大な転写調節因子に応用可能であると考えられる。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度