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in situプロテオーム反応性解析を利用した細胞による小分子の選別で標的を発見する

Nature Biotechnology 23, 10 doi: 10.1038/nbt1149

ケミカルゲノミクスは、タンパク質機能を撹乱して生物学的プロセスに作用する小分子を発見することを目指すものである。しかし、生理活性化合物のタンパク質標的を特定するのは未だきわめて困難である。この問題に取り組むため、本研究では天然物をヒントにタンパク質反応性の因子を有する小分子ライブラリーを作製した。細胞を用いるスクリーニングで乳がん細胞の増殖を阻害する化合物MJE3が同定された。in situプロテオーム反応性解析により、ライブラリーのなかでMJE3のみが解糖酵素ホスホグリセリン酸ムターゼ1(PGAM1)を共有結合的に標識して阻害することが明らかにされた。興味深いことに、MJE3によるPGAM1の標識および阻害が認められるのは未処置細胞に限られた。今回の結果は、がん細胞が生存のために解糖に依存しているという仮説を裏づけており、PGAM1を有望な治療標的として推すものである。さらに一般的には、タンパク質反応性化合物をケミカルゲノミクスのふるい分けに組み込むと、生体システムがもつ生理活性小分子の標的を発見する手段が得られ、それに続く機構的研究が可能になる。

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