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ヒトトランスクリプトームに豊富に存在するA→I編集部位の体系的同定

Nature Biotechnology 22, 8 doi: 10.1038/nbt996

ADAR(RNAに作用するアデノシンデアミナーゼ)ファミリーの酵素が行うRNA編集によって、mRNA前駆体中のアデノシンはイノシンへと(A→I)部位特異的に変換される。ADARによる編集はあらゆる後生動物にみられると考えられており、哺乳動物の発生に不可欠なものである。現在、ヒトADAR基質として知られているものはごく少数であるが、間接的な証拠から、全mRNA前駆体をみれば編集を受けているものが少なからずあることが示唆されている。本論文で示すのは、ヒトトランスクリプトームADAR編集部位のコンピュータによる検索であり、入手可能な発現配列を数百万件利用した。A→I編集部位12,723箇所が遺伝子1,637種類のなかに推定確度95%でマッピングされたが、これによって従来を二桁上回る数の編集部位が知られることとなった。この方法の妥当性を実験的に確認するため、新規の基質26種類で編集が起こることを確かめた。A→I編集は、ヒトでは主としてRNAの非コード領域で生じ、、Alu反復にみられるものが典型的である。編集部位を多数解析することによって、dsRNAの安定性制御で編集が担う役割が示された。

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