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肺微小血管内皮細胞の表面を対象とするin vivoおよび培養細胞の直接プロテオームマッピング

Nature Biotechnology 22, 8 doi: 10.1038/nbt993

内皮細胞はin vitroin vivoで果たす機能が異なる場合がある。しかしin vivoの微小環境で分子レベルの調節をどの程度受けているかに関しては、主として分析上の制約のため知られていない。我々は、ラット肺の微小血管内皮培養細胞およびラット肺から単離した管腔内皮細胞の形質膜がもつタンパク質を、多次元タンパク質同定法(MudPIT)を用いて450種類同定した(スペクトル数3以上)。in vivoで発現するタンパク質の41%はin vitroでは検出されなかった。再現性を評価する統計解析の結果、現在のイオントラップ装置で解析の完全性の信頼度を95%以上とするためには、MudPITによる測定が7〜10回必要であることがわかった。血管内皮細胞表面プロテオームの大規模マッピングが本論文で示すようにin vivoで実施されるべきであるのは、標準的な細胞培養法では未だ再現できない組織の微小環境が明らかに個別タンパク質の発現を調節しているためである。

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